介護現場では高齢者のメンタルケアが大きな課題の一つとなっていて、介護職が頭を悩ませている部分です。注意が必要なメンタル面の病気として知られているのが老人性うつと認知症です。認知症はよく耳にするため知っている人も少なくないでしょう。認知症とは認知機能が低下し日常生活が難しくなる病気です。発症すると抑うつ状態になることがあります。一方で老人性うつは高齢者がうつ病を発症した際に使われる言葉です。介護を行う上で重要な言葉であるため、初めて聞いた、言葉しか聞いたことないという人は、先に老人性うつの知識を身につけることから始めましょう。
認知症と老人性うつは病理学的には違いがわかりやすいです。しかし介護現場で高齢者の様子を見ているだけでは違いがわからずに苦労することがよくあります。しかし、両者を区別して対応するのは重要で、老人性うつなら心のケアを徹底した介護をおこなっていき、認知症なら医師による治療も並行して進めなければならないのが原則です。認知症の場合には必要に応じて施設を移ってもらうことも検討することが大切になるため、現場にいる介護職が見分けることが重要になっています。
老人性うつと認知症は抑うつ状態になりやすい点が類似しています。認知症でもうつにならない人もいるので、この場合には簡単に認知症と考えられるでしょう。また、記憶障害は認知症のときにはほぼ確実に起こりますが、老人性うつの場合には記憶は鮮明なことがあります。このようなケースでも簡単に判断することが可能です。
このような症状の違いが明確ではない場合にも、対話をすればどちらかを見分けることができます。簡単な質問をしてみるだけでどちらかを判別することは簡単なのです。認知症の人は質問の意図を理解できず、的外れな回答をする場合が多くなります。老人性うつの場合には答えられないケースがほとんどなので、質問をして老人性うつか認知症かを見分けましょう。